櫻イミト

復活の櫻イミトのレビュー・感想・評価

復活(1961年製作の映画)
3.5
トルストイの死後50年を記念してソ連映画界が総力を挙げて制作した文芸大作。冷戦時代の作品のため西側諸国では上映されず殆ど存在を知られていない(ミハイル・カラトーゾフ監督「怒りのキューバ」(1964)と同様)。日本ではATG配給で1965年に公開。

ある商人を毒殺したという無実の罪で裁判にかけられるカチューシャ。裁判当日の陪審員席には、彼女の少女時代に処女を奪った名士ネフリュードフがいた。彼は罪の意識にさいなまれる。不当な裁判でシベリア送りになったカチューシャにネフリュードフは付いていくが。。。

トルストイの原作を忠実に映画化している。ドイツ表現主義やリアリズモを感じさせる映像は素晴らしく、本作がデビューとなるヒロインも過去と現在を見事に演じ分けていて引き込まれる。久々にトルストイを味わうことができて見ごたえがあった。

もっと知られるべき名作だと思う。冷戦時代のソ連映画にはまだ見ぬ名作が眠っているのだろう。
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