やぎ

イノセンツのやぎのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.5
『わたしは最悪。』脚本のエスキル・フォクトが監督した団地サイキック・スリラー『イノセンツ』が面白かったのでオススメ🐐

純粋な子供たちの遊びが次第に悪意に変化してゆく様を、繊細に演出し、画面を無垢な狂気で染め上げていく。今年観た映画の中で、今のところ一番怖かった。

大友克洋『童夢』の影響が大きい本作だけど、サイキック・バトルの演出はすごく静かなものでそれが吉と出ていた。些細な物事が次第に深刻さを持っていくシームレスな質感を多様な映像表現で現していて見事。ヒロインが「ただ遊んでいただけ」と言ったけど、その遊びが徐々に残忍さを帯びてく様が凄い。

遠くからこちらに向かってきたり、見ている人間をロングで、しかし印象的に捉えるショットなんかはデヴィッド・ロバート・ミッチェル『イット・フォローズ』を想起させられたりもした。脚本レベルでも、撮影レベルでもサスペンスの演出が巧みだったと思う。子供たちの演技もとても良かったな。
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