ShuheiTakahashi

イノセンツのShuheiTakahashiのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.7
クライマックスがあまりにも童夢すぎた。
オマージュどころではなく、原案童夢じゃないのが不思議なくらい。
それでも面白かったし、ゾクゾクするシーンやエグいシーンもあり、楽しめた。

だんだんとエスカレートしていく残虐性。
でもそう感じる事自体が残虐なのだと思う。
エスカレートしているのだろうか?
ミミズや猫を殺す方が私は嫌いだし、許せない。
人の方がマシ。
ミミズや虫、猫が人の命より軽いと感じていて、人を操り、人を殺す方が怖いと感じさせる描写にこそ残虐性がある。

ミミズを殺したり、猫を殺したり、するのは嫌い。
特にミミズは本物だったと思う。
ぬかるんだ土だったから死んではないのかな。

超能力の見せ方は上手く、静かにゆっくりとじわじわと物語が進む。

本来できなかったはずの夢想を現実にできる力を持ってしまった子どもたち。
何に力を使うのか。
他者に対して死ねや殺すぞ、ムカつく気持ちを持ったことがある人は多いと思う。
私もそうだ。
思うだけで終わっていたことが、現実にできてしまうと知り、しかもそれが警察に捕まりようがないなら、使ってしまうだろうな。
理由のわからないむしゃくしゃした気持ちで感情がいっぱいになってしまう様子もよくわかる。
いじめてきた子、叱る親、思い通りにならない友達、全部壊したくなり、壊せてしまう。

よく殺害事件の動機とかで、よく覚えていないとか、精神病を持っていたとか言われている事件も、もしかしたらその裏には超能力者がいたのかもしれない。

現実に存在する闇や、起こりうる事件と超能力をうまく絡ませていた。

主人公と姉との関係性や、姉ばかり気にかける親、そして姉に対する気持ちとか
、無邪気というより、純粋に邪悪なんだと思う。
ミミズを踏んづけたり、猫を高いところから落としたり、姉を強くつねったり。
どうなるんだろうというわくわくを優先させる。
超能力を色々試して遊んだり、ちょっとのことで喧嘩したり。
そこに超能力がなければ、何も起こらなかったかもしれない。
ただ、あれば使ってしまう怖さ。
それは人間の本質なのかなとも思った。
傷つけたり壊したくなるのも。
と同時に、他者を思いやったり命を大切にする気持ちもまた人間の本質だと願いたい。


ブランコの支柱がひしゃげる描写に、息絶えるベンがブランコに座りプラプラしたり、団地の部屋から子どもたちが見ていたりする描写はあまりにも童夢すぎて、盛り上がる反面、少し冷めた気持ちにもなった。

ベンの人を操る能力がただ操るとかではなく、対象が恐怖を感じるものを見せることで操るのは面白かった。
童夢以外にもストレンジャー・シングスやシャイニングの影響も感じ、これからの作品が楽しみではある。
ShuheiTakahashi

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