団地に引っ越してきた少女イーダと自閉症の姉アナ。新しくできた友人ベンジャミンには念能力があり、様々な実験をして楽しんでいたが、次第に強大になっていく能力を濫用し始める‥
大友克洋の『童夢』から着想を得た北欧産映画だという宣伝は聞いていたので、気になっていた作品でした
確かに『童夢』を彷彿とさせる設定やシーンは幾つかありますが、アレンジを上手く効かせており、『童夢』とは別種の陰鬱で重厚感のあるホラー作品になっています
共感性が未発達であり、倫理観のバランスが危うい少年少女に、念能力という恐ろしい武器を持たせることで、何をしでかすか分からない不安感が鑑賞者をハラハラさせます
大友克洋は『童夢』を描くにあたり、悪役を老人にした理由について、怪物は普通の姿をしている方が怖いからだと述べています
今作では主人公と同年代の少年が悪役を務めていますが、老人から少年に変更されていても"隣人の姿をした怪物"という点は外していません
この変更によって念能力が関わる場から大人を排除し(警察も登場しない)、子ども達だけが感知できる静謐な戦いにしているのも個人的には好みでした(ただ、念能力による圧で壁が円形に抉れる描写は実写で見てみたかった)
観ていて楽しい派手さはないですが、刺さる人は一定層必ずいる傑作
『AKIRA』も勿論良いですけど、今作をきっかけに『童夢』のファンが増えると嬉しいです
