紅梅シュプレヒコール

THE MOLE(ザ・モール)の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)
4.0
Netflixでの配信が終了する前に駆け込みで鑑賞

北朝鮮へのスパイ活動に勤しんだ一般市民ウルリクの10年にも及ぶ潜入の記録を纏めたドキュメンタリー映画です

元料理人のウルリクが、自ら北朝鮮へのスパイ活動を監督に売り込んだことから物語は始まります

故国デンマークで活動する小さな北朝鮮支持団体に先ず入会し、そこから周囲の人々からの信頼を獲得していくことで昇進する様子は見ていて面白かったです

やがてはスペインを拠点に活動する大きな組織KFAの創設者アレハンドロと仲良くなり、より深い場所へと身を投じていくことになっていきます

淡々と非道な計画を推し進めていく登場人物達に対する嫌悪感と同時に、信頼しているウルリクが実はスパイであるという裏切りに同情してしまう縺れた感情を抱きながら鑑賞していました

ドキュメンタリーというのは、例え事実のみを映し出していたとしても制作者の視点が編集段階で意図せずとも入っくるものなので、あまり「これが北朝鮮の真実か!」とありのまま受け取るのは危険だと思いますが、用心に越したことはない国だなと改めて思い知らされました

しかし、本作で1番怖いのは北朝鮮への潜入を成し遂げたウルリクと協力者ジェームズの常人離れした肝の据わりっぷりでしょう