2012年アメリカで大友克洋の出世作と言える漫画「童夢」に影響を受けたような「クロニクル」という作品が公開された。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の撮影方法で「童夢」をやるという衝撃があってこれに嫉妬したクリエイターはたくさんいただろうが、それから10年近く経って2021年(日本での公開は2023年)北欧を舞台に『童夢』を別なアティチュードで映像化したのが『イノセンツ』だと言い切れる。
『イノセンツ』は同じく団地が舞台でそこに住む子供たちが超能力に…というのは同じだが、人体がバラバラになるとか、壁が球形に歪むみたいな派手さを取り除き、静かにホラーに展開する狂気の夏休みの話にしたてあげた。なのでミステリーだった「童夢」サイキックバトルに特化した「クロニクル」とは違い、「童夢」の本質みたいなものをいちばん捉えた作品なのかなと思った。だからこそラストにはニヤリとさせられたし、監督も「日本の皆さんに見られたらバレちゃうな」みたいなことも発言してたが、それくらい「童夢」愛を感じた。
スピード感こそないが、じわじわと怖さを体感させるのは北欧ならではなのかもしれない。観たあと「童夢」を読みたくなり「クロニクル」を見直したくなった。