北海道のとある港町・海炭市に住む人々の心の機微と美しい風景を描いた群像劇。
「叙景」とは、景色を目に移ったとおりに述べ記すこと。
ほんとにそんな感じの映画で、淡々とこの街に住む人々の生活を写し続けるのだけれど、これがどんより暗くて、そして全く明るくならなくて。でもこの映画に出てくる人たちは「苦しい」とか「つらい」とか言わないし、涙は隠そうとするし、それがすごく身近に感じて、「ほんとうにそこにいるんだな」と思わせてくれる。
これを書いたのちに自死したという佐藤泰志さんが何を思っていたのか。分かるようで全然分からないのが、すごくくやしい。