ハヤメソソ

パラレル・マザーズのハヤメソソのレビュー・感想・評価

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
3.7
アルモドバルらしい、のかな?
ここ近年アルモドバル作のミューズであるペネロペ主演の母のドラマ。ロッシ・デ・パルマさんも出演していて、一捻りのあるストーリー。

確かにアルモドバルなのですが、おそらく監督自身も真摯に描いていた、スペイン内戦の被害者一族というもうひとつの物語が、これはもう本当に個人の感想になるのですが、少し浮いていたように感じました。
分かるんです!母としての主人公と家族の物語を描くのに、生と死と大きな命のサークルを悲しい歴史に重ねて表していることは分かるんですが…。
なんでしょうか。ちょっと別々の話のごとく私には絡みが弱く思えました。

セシリアの父親である恋人のアルトゥロが、発掘のリーダーでなくてもよかったような…。そこでエピソードを無理矢理繋げているような印象をちょっと受けてしまいました。
それくらい大事なはずの「曾祖父やら親戚の内戦による死」の部分が最後にぎゅーっと突然の濃厚感でした。

バランスなのかな…。
個人の感覚にて失礼。

DNA鑑定で✕だった時点で動き出さない主人公がおかしいはずなのに、彼女を責めないで、とアナに言いたくなるほど、ペネロペさん名演技でした。

母親を描いたアルモドバル作品は『ボルベール』を筆頭に大好きなので、また母の映画が観られて嬉しいです。

余談ですが、ティルダ・スウィントンの『ヒューマン・ボイス』は、女を描いた作品でこれまたよかったです。