このレビューはネタバレを含みます
- こっち側に来たらもう戻れないからね
選択肢が奪われたなかで
選択させられるという暴力
背負わなくていい罪悪感を負わされ
人生は、破壊される
選択肢を奪うのも
そのなかで選択させるのも
実際に人の命を奪うという行為も
すべてが暴力である
暴力への暗い欲動
自分は何者かでありたいという願望
生きる絶望
「死刑にいたる病」というタイトルが相対化され
自分の暗い内面を曝け出させられる
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徹底して悪と暴力から人間の本質を描き出そうとしてきた白石和彌の最新作
「彼女が〜」以来のタッグとなる阿部サダヲと、日本映画界のホープ岡田健史を主演に迎え、全ての暗い過去と暴力の歴史が観客に襲いかかってくる
そうした被害を受けたことが幸運にもなかった僕だが、安全圏に止まり続けることをこの映画は許さなかった
「血縁はなく自分の力で因果の鎖を断ち切ったかのように見えた雅也が依然捉われ続けていた」という事実の提示により、この「病」と無縁でいることの不可能が突きつけられ、観客は安全圏から引きづり下ろされる
虐待の連鎖と家父長制的価値観の弊害、という通奏低音のもと、二転三転する事件の展開に惹きつけられ続ける
韓国ノワール的な白石和彌らしい残酷にすぎる描写も交えながら、阿部サダヲの沼のような目に引きこまれるかのように作品の提示する闇に飲み込まれていく
宮崎優さん、初めて見たし若干力不足も感じたけど、超重要な役をあのキャストの中でやりきったのはすごい
今後が楽しみ
音尾琢真ら白石組常連から、中山美穂•岩田剛典という準主演のキャストまで安定感抜群で、ややもすれば戯画的で現実感を失いかねない話をうまく地に足をつけさせている
とても面白く満足だが、白石さんが本当に撮りたいのはこれなのか??という疑問は残るし、もっと尖りきったオリジナル作品が見たくもある
原作知らんけどキルケゴールからタイトル取るならあの授業だけじゃなくもうちょい扱ったら?とは思った。知らん人多すぎて意味ないという判断なのかわからないけど。
あとちょっと榛村はBPDっぽい?かな?