太郎

死刑にいたる病の太郎のネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

白石監督の表現する生々しい犯罪観とグロテスクな表現がもはや美しい。

キルケゴールの「死に至る病」が絶望であるならば、死刑に至る病とはあくまで客体的。それは他者に「弱さの絶望」を与えるものであり、同時に榛村の「強さの絶望」を際立たせるものになっている。

一見極度の偏愛が生み出した狂行に見えつつ、全てが榛村の享楽の舞台演出としても納得がいく。彼が周囲の人間を取り込む事に長けているのは、この究極の自己満足でしかない自慰行為に対して普遍的では無いカリスマ性と聖職者のようにも感じる良き理解者に似た何かを感じてしまうからなのか。

久しぶりに原作が読みたくなる作品だった。
太郎

太郎