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サウダーヂ デジタルリマスター版のbibooのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

10年前と思えないほどの時代劇みたいな渋さがある。
街の時間の流れをそのまま映したようなテンポで進む3時間弱。

2022年に見るとこういう街があるっていうのと貧困であるっていうのがわかってしまってるところがあるので意外と驚きがないけど、公開当時の10年前だと衝撃的と言われていたのも少しわかる。これほどまでに一部でカルト的人気になってるのは、登場人物たちの演技っぽい演技が一見ファンタジーに見せてるけど実は結構リアルなエピソードが織り込まれてることにあるんだろうか。あと、それぞれの人物たちが直接的には関係しあわず分断してるように見えて、みんな「サウダーヂ」を理想として持ってるところにあるんだろうか。それぞれに見えてほんのり地続きであることが、2回3回と繰り返し見たら見えてきて面白いと思えるんだろうか。1回じゃよくわからないのかもしれない。

山梨にブラジルとかタイの移民が暮らす街があったとは。そういえば岐阜の美濃加茂市にも本作みたいなリトルブラジルがあったな。その街にも非正規雇用でもがきながらがむしゃらに生きてる人がいて、国籍の問題から親子で街に住めなくなる人もいたことを思い出した。
地方ならではの色んなカルチャーがギュッとしてる感じも思い出す。物語には特に何の大きな進展はなく、その狭い街の狭い人間関係のごにょごにょをただただ切り取ってる。民族間での歪み合いは10年前の価値観と思えんほどのクラシックさを感じるし、と同時にどこにでもあって普遍的なんだなと暗い気持ちにもなる。あと日本からブラジルは22時間かかるっていうのでサバンナ八木のギャグを思い出した。

ライブシーンはやっぱり劇場で聞くと音が映える。もっと聞きたいと思った。

日本は移民の国である。
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