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軍艦少年のchipのレビュー・感想・評価

軍艦少年(2021年製作の映画)
3.8
軍艦島目当てに鑑賞、
他に何の予備知識もなかったけれど…
とても良かった!

 
闘病中だった妻を失くして
失望の中酒浸りになる父「玄海」を加藤雅也が演じていました。
あの世を見ているような、虚ろな目が
深い悲しみに満ちていました。。
かつてスマートな役柄のイメージだった加藤が…
白髪交じりのシワシワの顔で
一升瓶をラッパ飲み。。
高校生の息子「海星」は優しかった母を失った寂しさと、
だめになってしまった父への怒りをぶつけるために、ケンカばかり。。。
母の絵を描いていた優しい笑顔は
険しい目つきになった…
佐藤寛太くん、いい役者ですね~
親子の住まい兼ラーメン屋は
軍艦島がよく見える海岸にあるのです。
美しい風景でした。


大切な人を失くした悲しみはとてつもなく大きいけれどね…
私もよくわかるけれどね…
前を向いて歩き始めなければいけない、
時間はかかるけれど。
玄海にも海星にも、心のドアを何度も叩いてくれる友達がいたから良かった!!
男って…何かにつけて殴り合いをして決着をつける、のかな?
父も息子も、友達と思い切り殴り合いをした後、
いい笑顔になっていた。。
こういうの、女には理解できないけれどね、笑
父の友達、野母崎は赤井英和が演じていて…
いい味を出していました~
殴り合いもラーメンも、良く似合う男です。


父と母、それに野母崎は、
軍艦島(端島)で生まれ育ち…
軍艦島がふるさとなんだと。
父と母の置き忘れた思い出…
1960年には5000人以上住んでいた軍艦島の様子が、
廃墟になってしまったけれど…
確かにそこに人々の生活があった様子が長い時間映りました。
そこだけモノクロ映像のようでした。。
そして、軍艦島が見える海岸で絵を描く海星、
彼を見つめる友達の結と準がいて。
その海がとても美しい。。
毎日灰色の雪空を見上げている、私の癒しになりました。
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