このレビューはネタバレを含みます
師走にして今年1を更新してしまった。楽しいとか感動するとかではなく、考えさせられるとか学びがあるとかそういう次元でもなく、ただ観てよかったと思う映画だった。ドラマではできない映画でしか味わえない感覚になれて嬉しかった。映画っていいね。
以下ネタバレです。
妻夫木さんの家庭だけなんだかぽかんと浮いた印象があってそれがなんなのか分からなくてふわふわした感覚でいた。でも窪田さんの人生とのリンク、他の登場人物の未来との対比が映し出されたときぞっとした。人を救う立場の弁護士。それに対して、在日とか死刑制度とか加害者家族とかひとつずつでもいろんな意見をもつ人がいる題材を盛り込んで、でもそんなことを議論したいんじゃない。世の中にはいろんなくくりがあって仕事だったり人種だったり出身だったり。そのくくりの中にいることでくくられた人生になってしまうのか。名前すらもそのひとつなのか。なにが成功でどう生きると幸せなのか。そんなことを思いながらも、頭で考えてしまいそうな情報を頭で考えさせず、いい映画だった、観てよかったという感覚で終わらせてくれた。
そして役者さんが期待を裏切らない方ばかりですごい。特に窪田正孝さんはすごいな。分かってたけどすごいな。
冒頭の安藤サクラさんの表情と音での描写はずるい。あれでもう惹き込まれる。そして息子(ゆうと)役の方の表現がとても素敵。彼の存在があの家族の光と闇を一層際立たせていた。あー泣いた!!