圧巻の演技力に裏打ちされた、人の想いがつまったミステリー。よくできた邦画という、日本独特の強み、面白さを堪能しました。
全体的に淡々としているものの、謎と人間描写のバランスが実によく、ストーリー展開は先の興味をそそる吸引力があり、いつの間にか二時間が終わっていました。
登場人物の演技があまりにもよく、実際に居そうな嫌な感じの人とかの描き方が絶妙。日常と離れていない地続きの世界を見せられているようで、どの人もうまくて心に迫るものがあり、何度か涙が出てしまうシーンもありました。
そんな中、出番は少ないものの、ひときわ異質な印象を見せる元詐欺師の演技が忘れられません。喋ってる口調も独特でしたが、視線だけで心の動きを見せる様や、本質を突きつけてくる慧眼さも兼ね備えていて、ここだけ日常から切り離されているようでいて、大きな本質を含んでるシーンとも感じました。
特に白眉なのがラスト。独特の余韻があって素晴らしかったです。