beni

ある男のbeniのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

映画の完成度は言うまでもなく素晴らしいものでした。
なんの予備知識もなく視聴してましたが、初めは心をグサグサと刺される感じの映画かと思いきや、ずっしりと重いストーリーという部分が主語ではなく、ある男の抱える深い深い心の歪みが少しずつ紐解かれていくところに軸を置いた映画なのかと思った。
「あなたはどう思う?」と強く問われている気がした。

照明の演出がとても優れていた。
光の具合で演者の感情や境遇を暗に示していた。心に何かを秘めて、相手にそれを悟られたくない時は、間接的な明かり。腹を割って話すと言う時は太陽の明かり。

特に際立っていたのが、
最後の方で安藤サクラ演じるリエが、長男の部屋で勉強机に座っていた時の演出。
リエが長男とどう話すか悩んでいる状況は、卓上のライトのみでリエを照らし、
長男は部屋の明かりをつける。
その後、「悲しさはない。寂しい」という本音を母親に伝える。
これまで心境を打ち明けることを避けていた長男の方から、心を解放して話をするという合図にも見えた。

それにしても、安藤サクラの演ずる映画は没入感がすごい。
城戸弁護士の息子の自然な演技も素晴らしかった。
beni

beni