かえるのエリー

ある男のかえるのエリーのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
まず、予備知識無しに観たい人、filmarksのキャスト欄は見ない方がいい。だいぶなネタバレあり。

機内で観ようといくつかiPadにダウンロードした中の1作。ただ、流石に帰路は疲れていたのか、長い瞬きが多く、結局自宅で再鑑賞。いやぁちゃんと観直してよかったわ。全然印象が変わった。





以下ネタバレ感想





アイデンティティとは。
名前を変えれば中身は変わるのか。結果そんなことはない。でも生きていく上で名前はその人のアイデンティティに多大なる影響を与えることは事実であり、そこにすがりたくなる者もいる。まさかそれをラストで強調するとは。それまでは城戸の家族の描写に必要性を感じてなかったが、成程な着地だった。

戸籍売買を生業にした男。「彫り師は最初に自分に刺青彫るでしょ」、彼の消えていく手形の演出と演じる柄本明の完璧さよ。

悲しくはないんだ、でも寂しいんだ。
複雑な心境の息子・悠人を坂本愛登が熱演。彼を何処かで見たことあるなぁと思ったら、名前を見て思い出したよ、ドラマ「不適切にもほどがある」の子だね! 同ドラマから僅かではあるが河合優実も参加。爪痕残すね〜。

親の離婚、1回目、2回目を経て4つ目の名前で(偽)谷口大祐が掴んだ幸せ。整形は考えなかったのか、と言えば元も子もないが、彼が家族を持った3年半は周りの人も幸せにした事は間違いない。

映像が素敵だったので、監督の別の作品も観てみようと思う。なんてったってマグリットの絵を使うなんて、どストライクなんで。