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香川1区のzatのレビュー・感想・評価

香川1区(2021年製作の映画)
4.0
前作を観てないのでなんとも言えないけど、確かにちょっと危なっかしいところ含めて小川淳也という人をつい応援したくなる、(前作の影響下における)衆院選の選挙活動から開票までを追ったドラマチックなドキュメンタリー。

個人的に選挙映画といえば想田監督の「選挙」。観てから10年以上経ってかなりうろ覚えで多分全然違うけど、小柄でゴーイングマイウェイなリベラルの(政界では)若手、という意味で、記憶の中の朧げな山さんとちょっと重なるような。山さんが泡沫候補あるいは自民という最強の後ろ盾でもって当選するのとは違って、小川は自力で支持者を集め、真正面から自民党候補に挑んで当選を勝ち取る…もしかして日本の民主主義ってマシになってるんじゃ?という一抹の希望。

でも選挙活動が、一般的な事業活動で言えば広報とか協賛募るとかそういう類の活動とするなら、地道な草の根活動が重要な場合もあるとはいえ、一番時代に即した新しい世代の候補であってもドブ板的な動きをせざるを得ないという現実も突き付けられた。

観る前監督のことを全く知らず、基本的にはインタビュアーとして、時には取材対象とのバトル相手として、監督がバリバリ劇中に登場するんだけど、思い返せば後頭部とかかなり父上の面影が…。

「妻です」「娘です」のタスキは正直げってなったけど、ちゃんと本人たちが意識的で回収してくれたし最後の演説はなんだかんだ目頭が熱くなった。

「お手持ちのスマホに“QRコードをダウンロードしてください”(x2)」は、そういうとこだぞ☆ってなった。

高松の劇場で観たので、この映画に限ったことではないけど、題材になったその出来事がまさに起こった現地で作品を観るという体験はまた特別で、現実と虚構(あくまで作られたものという意味で)が共存、あるいは現実に(その現実の本質を掴み取った)虚構が内包されている?ような感覚はなんとも不思議だった。
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