このレビューはネタバレを含みます
舞台は大阪の西成区と異なるが、本作は2017年に神奈川県座間市緑ヶ丘のアパートで発生した座間9人殺害事件をモデルにしている。
15歳〜26歳の女性8人と20歳の男性1人を殺害し、被告人Sは「被害者は殺害を承諾していなかった。また犯行時、被告人Sは完全な刑事責任能力を有していた」と認定され、死刑判決となった。複数のアカウントを持つTwitterで自殺幇助を称しつつ自殺志願者と接触し、犯行に及んだとのことで、この事件を切欠にTwitterの運用ルールに「自殺、自傷行為を、ほのめかす投稿を発見した場合は助長や扇動を禁じます」と新項目が追加された。
そして、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病と安楽死、架空の島果林島という舞台。
監督はこの実在する事件にエッセンスを加える。
「湯を沸かすほどの熱い愛」でのいじらしい娘役、「空白」での万引き女子中学生役、そして本作で娘役を演じた伊東蒼の成長した姿が顕著。
また「青くて痛くて脆い」でウザい大学生役を演じた清水尋也のサイコパス演技も巧み。
エンドロールに続くラストの卓球シーンは誰もが目に焼き付くだろうと思う程に印象的。娘に通報される中、涙のエンドレスラリー。
失踪した父を探す娘、自殺志願者を探す指名手配犯、自殺幇助をしてくれる存在を探す自殺志願者、そして妻の死を契機に自分を見失ってしまった父。様々な"さがす"のストーリー。