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フリークスアウトのtakaeのレビュー・感想・評価

フリークスアウト(2021年製作の映画)
3.7
ナチス・ドイツとはぐれ者フリークスたちの戦い!

オープニングのサーカス小屋でのショーで心をわしづかみにされ、どこかグレイテストショーマンを思わせるような雰囲気にワクワクしながら観ていたところから急に現実に引き戻される演出に度肝を抜かれました。
これはただのエンタメ作品ではないと一気に目が覚めた気分。

舞台は第二次世界大戦のイタリア。
その特殊な能力のせいで普通の暮らしができずに身を寄せ合うように暮らしてきたサーカス団のメンバーが、表向きはナチス・ドイツの広告塔であり裏ではナチスの戦力になる異能力者を見つけるため秘密裏に人体実験を繰り返す『ベルリンサーカス団』に捕らわれてしまい...というお話。

ここまで読むとすごいB級臭漂ってきますよね。確かにそういう雰囲気もあるんだけど、この映画がとんでもなく凄いのは、エンタメのふりしてガチの反戦映画だというところ。
本気の反戦映画であり新しいヒーローものと言えるかもしれない。

一言でいうと、X-MENにタランティーノとデルトロを足したような雰囲気で、ファンタジーの中にしっかりエログロ、残虐性もあるという。
こういう形でしっかり反戦を訴えつつも、それをエンタメとして見せるというのがめちゃくちゃ熱かった。

歴史に疎くてあまり知識もない私ですが、ナチスがユダヤ人を一掃しようとしたのは異質なものを排除しようとしたからなのかな?と。言わばその異質なものの代表と言えるフリークス達がナチスをぶちのめすってすごいカタルシスを感じるし熱いんですよね。

そして、敵役である『ベルリンサーカス団』の団長であるフランツの悪役としての描き方がすごく良かった。
彼自身もある意味フリークスで役立たず。そういう目で自分を見てきた奴らに思い知らせようと異能者軍団をつくりナチスの戦力にしようとする。その行動原理が切なくて、悪役だけどどこか憎めない部分もありました。

終盤のバトルも大迫力で見応えあり。
フリークス達のキャラもユニークで、一見弱そうなのに思いのほかエグいことするから最高!⁡
⁡R15+ということもありエログロ、戦争の残虐性もきっちり描かれている本作。2時間20分と尺は少し長めですが面白かったです。
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