冷蔵庫とプリンター

パワー・オブ・ザ・ドッグの冷蔵庫とプリンターのネタバレレビュー・内容・結末

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

 2021年モードの自省的な西部劇だった。
 冒頭から牛の移動や、窓・戸口から見る広野が快い。
 "有害な男性性"をこれ見よがしに発散させるフィルが教養もあるところが良い。そして自身のセクシュアリティと向き合えないことがミソジニーを助長させているのも巧い。
 得意のバンジョーで威圧するところは不覚にも笑ってしまったが。
 時代設定も秀逸。1920年代と言えば「狂乱の20年代」、都市化が急速に進む一方で、地方では時代の流れから取り残された人々もまた増えた時代である。
 一見して"男らしさ"がない、弱い人間だと思われた中性的なピーターが実は"強さ"を兼ね備えた人物であることがわかるのが面白い。