Pam

パワー・オブ・ザ・ドッグのPamのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
3.9
奥深いよこれ。。

誰にも心を許してはいけない。

そう教えられたね~~。

それでもこの1920年代のモンタナ州のブルジョワたちの生活ってすごくダウントン・アビーなのね。私はそっちの舞台設定の方に感動したね。ファームを経営する兄弟。兄は経営者ではあるが、現場に出かけ自ら従業員たちの見本を見せ体を張る。実はインテリなのだが、部屋は質素。寝室には装飾など一つもない。但し楽器は嗜む。弟も共同経営者。いつもきちんとした身なりをしている。兄ほどの影響力もなさそうだが、然るべき人たちとの付き合いのすべは知っている。・・



ファームで働く男たち、実質的人間の群れの中心にいる長男のフィル(カンバーバッチ)そして次男、次男に嫁ぐピアノの下手な未亡人新妻、そしてインテリで中性的な連れ子。と心が洗われるモンタナ州の景色と男たちの肉体美たち。

カンバーバッチ。。。いやほんま、あんた、天才数学家チューリングやとおもってたら、牧場来ますかー?って感じで今回は肉体美役です。ちょっと若ければ、マシュー・マコノヒー様にやらせたほうがアメリカンな雰囲気出るんじゃないかなと思ったけど。カウボーイハットもマコノヒー兄以上に似合う人知らないわよ。

喋らせれば外国語で愛amourを語り、知事にはラテン語で話すんだろ?とインテリさをからかわれる。それでも風呂には入りたがらないけど完璧な経営者。それでもいつも寂しそうで、孤独を纏っている。気を許す人などこの世には一人もいない。

とてもいい役でした。俳優さんたちは全員ぴったり。ってかんじで。クリスティンダンストは声がいい。40歳にしてはちょっとおばちゃんかなと思ったけど、声の張りが彼女の若さを醸し出している。
ピアノがひけるぐらいだからある程度の教育を受けた環境だったのだろう。ただ知事の前で弾くほどではない。
後半はアルコールに溺れる役をしてたけどその表情もよかった。最後に見たのが、NASAの3名の名もなき黒人女性研究者の話のイケズ役だったけど、今回もいい感じで、白人女性の自信のなさを見事に表せる素敵な演技。


弟はViceで確かチェイニーに心臓を提供するアメリカの小市民役としてでてた俳優さんだよねぇ。
実生活でクリスティン・ダンストと子供もいるらしいから、息はあったのかも。
あの小粒感がたまらなくいい。小粒なんだけどこの人目立つよね。兄に無学をからかわれても何も言えない誠実な男。

そして、ピーターくん。。名前は知らないけど、、どう考えても彼はコムデギャルソンのモデルにいけそうですが、くせものよー。今後有望よね。

ほんと、誰に自分が感情移入するか。と思えばやはり私はこの妻が一番わかりやすいと思うのね。息子がフィルに流れていきそうなときに息子に「行かないで」っていうところとかなんか哀れででも気持ちすごくわかった。。。私も多分そうするだろう。自分の唯一無二の理解者が自分をいじめる人に惹かれていくを見るのはつらい。。(惹かれてはいなかったけどね。。。)

しかしなんでフィル+ピーター、弟+お母さんの複合家族では当時の田舎では無理だったんだろうなぁ。。別バージョンのイミテーションゲームだね。。


そして題名の由来を聖書に落とし入れるこの手法。。あああ。好きだよ。教養を試すんだね。そういうバックグラウンドない日本人辛い〜。もう一度読みます。ありがとう。それでも緊張感から切れた急展開はエンタメ。


今年度いろいろなアカデミー賞にノミネートされたみたい。誰が取るかな。楽しみですねー。
Pam

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