享年36歳

パワー・オブ・ザ・ドッグの享年36歳のレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.2
ジターーーーッと長い映画だ。物語に緩急はない、ゆったりとしたテンポで物語は進んでいく。人によっては飽きが来てしまうかもれしれない。しかし、このジターーーーッと長いのがフリとなり、衝撃的なエンディングがオチになるので、ゆったりと我慢強く鑑賞してもらいたい。

「男強さ」というのが本作のテーマだ。「男強さ」というのは現代の価値観(特にアメリカにおいて)は旧時代的な価値観になりつつある。フィルは女性蔑視を根底に持ち、粗暴で乱暴な「男強さ」を誇示する所謂旧時代な男性だ。もちろん、舞台となる1920年代においては、当たり前の価値観だったのかもしれない。一方弟のジョージは周囲の人物にも寛容かつ慈愛溢れる人間として描写される。兄とは対照的だ。

弟のジョージが結婚したことを期に、フィルはジェンダーレスの香りが強い連れ子のピーターと接触していく。ピーターは粗暴なフィルに対して、嫌悪感を示すが、フィルはそんなピーターを気に入っていく。

そんな中、ピーターはフィルの重大な秘密を知ってしまう…

ゆったりと時間を使い、所謂「行間」を読ませるタイプの映画だが、主演のドクターカンバーバッチの演技も素晴らしく、観客を飽きさせない。
作家性の強い作品で、現代のテーマともマッチしており大変良かった。
享年36歳

享年36歳