ドスティ

パワー・オブ・ザ・ドッグのドスティのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.5
とても良かったのだけど、傑作とか面白いと言うよりも深淵に触れたような戸惑いと不思議な余韻が残る。

有害な男らしさの終焉と抑圧がもたらす犠牲。
暗喩に満ちた映像と不穏な音響によって居心地悪く感じつつ、素晴らしい役者陣の演技を堪能した。

西部劇の主人公にベネディクト・カンバーバッチと聞き少し疑問だったけど、女性や同性愛を嫌悪し嘲笑うことで仲間を従える支配的で冷酷なカウボーイを見事に体現。
言動は痛々しく憐憫すら誘い、風呂にも入らず粗野な一方で古典を学び音楽を嗜む面もある多層的な人物像を作り上げていて、本当に凄い!

コディ・スミット=マクフィーの秘めた強さと魔性をも感じる佇まいは格別。

兄と真逆の、都会的で牧場に馴染めず穏やかな弟ジェシー・プレモンスが涙を流すシーンは心温まる瞬間。
それだけに見初めたキルスティン・ダンスト(実生活でもパートナー)をケア出来ず彼女が壊れていく姿は悲しい。
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