葦見川和哉

ベルファストの葦見川和哉のレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
沁みました。ケネス・ブラナー監督の作家性、ここに極まれり。ベルファストを舞台に、宗教対立という激動の時代を過ごした少年期を軸として家族と自身のルーツを辿ったドラマ作品。暴力と苦難が連鎖する中にあっても、観客からふと笑いが生まれるブラナーの優しい視点に救われる。

平和だった世界の分断を描きつつ、それを憎悪として観客に印象づけさせないブラナーの手腕たるや。そんな監督の少年期を投影したバディ役のジュード・ヒル君に本作のMVPあげたい。この作品の性質を明確にしたのは間違いなく彼の演技力と愛嬌。環境に優しい洗剤のシーンは笑いました。
葦見川和哉

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