せっ

ベルファストのせっのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.3
そこにはいつもカルチャーが。

プロテスタントとカトリックの内紛で突如平和だったベルファストが一変。英で働く父に家族全員でついて行くかとどまるかの選択を迫られる一家の話。

全編ほとんど白黒で内紛の混乱や家族内での父と母のギスギスした雰囲気など不穏な空気はあるものの、劇中流れる音楽がケネス・ブラナーのアイルランド(ベルファスト)への愛情や自分の幼い頃の郷愁を感じてめちゃくちゃ温かい気持ちになる。

音楽に加えて、何度か見に行く映画や常に流れるテレビやラジオがこの映画を彩るように、劇中での映画や音楽などの立ち位置が、有事には下に見られがちなカルチャーの重要さを教えてくれる。コロナ禍でもそうであったようにカルチャーは生きていくために必要ないという風潮もあるけど、バティ見ててそんなこと言えるのか?

そして、愛する故郷を離れざるを得なかった人達の話で、これが今のウクライナの人達と被る。本当に移民の人って来たくて来てるわけじゃないのは分かってたけど、ベルファストを出ると伝えた時のバディの行きたくないという叫び、お母さんの切実なベルファストへの思いを聞くとより実感する。今後日本にもウクライナから逃げてきた人が徐々に入ってくるだろうけど、これを忘れないようにしないとな。

あとは、白黒だし終盤家族が抱き合う様子がめちゃくちゃ『ローマ』と被るなと思って撮影監督とか調べたけど全然違う人だった(笑)
せっ

せっ