このレビューはネタバレを含みます
ビョルンの娘さんがビョルンの『ベニスに死す』のオーディション映像の様子で感じた事を語る言葉にじーんときた。
親に恵まれなかった生い立ち、
祖母のお金儲けに利用され芸能界の暗部に愚弄された少年期、
大人になり幸せをつかんだ矢先に息子を亡くし自責の念に駆られる・・・。
家族に翻弄される人生だけど、同じ年に生まれた妹さんや30代になった娘さん
目をかけてくれる家族もいるのが救いでもあるように感じる。
今のビョルンの風貌は映画『ミッドサマー』の役作りもあるだろうけど、
暮らしぶりもズボラなのは美に対する反抗心もあるのだろう。
だけど、細く長い指・スマートな体型・シワはあってもシミはない顔肌、
サングラス姿の横顔は画になるし、猫背気味に歩く姿は色香がある。
一つに束ねた三つ編みもジプシーのようだ。
恋愛も生き方も器用ではない、強くもない。
だからこそ、心までは汚れていない。
心の美に老いはない。
生まれながらの二枚目。
それは彼にとっては不遇でしかないのかもしれないし、彼の中で折り合いきれていないのだろうけど。
日本のカラオケボックスで自分がかつて日本でリリースした曲を当時の若かりし頃のモニター映像が流れる中、
一人でしみじみ歌う姿は観ていて思わず抱きしめたくなってしまったよ。
ビョルンが愛おしく思えたドキュメンタリー映画でした。