Elijah

帰らない日曜日のElijahのレビュー・感想・評価

帰らない日曜日(2021年製作の映画)
4.5
劇場鑑賞(お目当てはジョシュ・オコナー)。
久しぶりに「これぞ英国」という文芸作品を観た気がした。
ここまで“種”を生々しく描写した映画を観るのも久しぶりだったかもしれない。
どことなく『アンナ・カレーニナ』、又は『つぐない』を思い出してしまったのはなぜだろう。
上流階級の子息がメイドにお手付きをすることは余り良い印象がないのだけれど、この物語の主人公であるジェーン(オデッサ・ヤング)は合意の上だったのでそこを意識することなく観ることが出来た。
本心を言いたくても言わない/言えない上流階級の人たち。
喪失感から立ち直れず空虚を抱えたまま生きる日々。
唯一の跡継ぎとなったポール(ジョシュ・オコナー)の重圧感は想像以上のものだったのかもしれない。
「さよなら、ジェーン」の真意とは…。
当時の裕福な者とそうでない者、どちらが幸福な人生と言えたのだろう。
「失うものがないことこそ強みであり武器」という言葉が強烈なくらい頭に残る。
1948年と1980年代をもう少し線引きし時間を割いた描写であれば、より理解が深まったように思える。
また、事前に人物相関図を頭に入れて鑑賞した方が、より理解し易いとも思う。
男女2人の生まれたままの姿がボカシというものに世界観を妨げられることない自然な映像の在り方が今後も続きますように。

2022/06/01鑑賞(1回目)
2022/06/09鑑賞(2回目)
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