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雨のロスアンゼルスのghostboatのレビュー・感想・評価

雨のロスアンゼルス(1975年製作の映画)
4.5
ふとしたキッカケで出会った自動車整備士の男とシングルマザーの女が、初デートの日に、些細なイタズラから売店の青年を死なせてしまう。カーステレオからエルトン・ジョンの特集ラジオが流れるなか二人の逃避行が始まる……ってなんだこのエモすぎるプロットは。はじめは警察に追われるような血生臭い展開を期待していたが、実際はそんなことなく旅するカップルの動向を程良いロマンス込みのゆったりとした語り口で描いており意表を突かれてしまった。

ロマンスの濃度でいえば『トゥルーロマンス』っぽいが、ストーリー性を廃した緩慢な語り口やラストの急な展開含めて同じ70年代の『地獄の逃避行』に似ているかと。両者のいいとこ取りな感じがたまんない。息子が気がかりになって揺らいでしまう女の心情がいい味出してる。

音楽の使い方がラジオから流れているモノという設定になっており、途中でぶち切られることが何度かあった。劇中内で息づいているようなこの手の使い方は好感持てる。ただし途中でMVかよってくらい過剰な使い方をしてたのは残念でした。

野外撮影も秀逸で、ネオンの夜と逆光の昼、明暗のコントラストが強烈に印象に残る。夜のLA☓エルトン・ジョンでタイトルバックをかましてくるオープニングのカッコよさにも痺れるが、終盤の電話シーンにおけるガラスへの逆光はマジでヤバい。彼女の顔を光で隠すその使い方は最後の展開を暗示している。

原題はアロハが持つ2重の意味を上手く使っているらしいが、邦題のほうがこの映画の世界観にピッタリだと思う。だいたいタイトルに雨なんてついてたら無条件に反応してしまいます。恐らく元ネタはポラックの『雨のニューオリンズ』(65年)かと思う。面白いことに蔵原『雨のアムステルダム』と公開年(75年)だけではなく配給(東宝)まで同じだった。偶然????

『センターコートの幻影』も某社が権利持ってる可能性が高いので早急に出して欲しいところ。。超みたいです。。。
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