おーもり

ちょっと思い出しただけのおーもりのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
3.5
いきなりエンドロールの話をしてしまうが、

池松壮亮  伊藤沙莉

って横並びで出てきたのめっちゃ良かった。
そう改めて思うくらい、このお二方の演技がとっっても自然で微笑ましく柔らかで時にピリつく雰囲気がすばらしかった。

照生のローテーションにシュールなボケに対して、
葉の口悪早口ノリツッコミの掛け合い。
最高か。
あんな仲良いカップル、とても憧れ、目尻が下がる。

そして時代を示す表現としてマスクがアイテムになる時代がきた。
この5,6年の月日をちょっと思い出させる構成。
最初の2,3年は、もっと構成のルールをわかりやすくしてくれても良かった。
同じ日を描いていることはピンとくるんだけど、順に辿っているのか、「(500)日のサマー
」的にシャッフルされているのかが気になって、マスク無しってことは更に未来なのか?とか余計な思考をしてしまった。
元号が変わるんだってよ~的な記号的な時事ネタが一瞬あればなと思った。

水族館のシーンは全部よかった。
二人だけの空間でほんとに楽しそうにデートする。
普通恋愛映画って、
出会ってだんだん仲良くなって、盛り上がっていく様を描くのに
土砂降り別れている冒頭から、付き合った当初に遡るにつれてあの時の煌めきをだんだん描いていく。
上映時間が進むに連れ、恋する二人のテンションの上がり方はどっちも同じなのに、俯瞰してみている観客はツラみがすんごい。

ラストそれぞれの今があって、この先どんな1年を積み重ねていくかは分からない。
けれども、また陽は昇るんだというシルエットの余韻。
綺麗な過去の瞬間に、ふと浸る瞬間があってもいいじゃない。

あと池松壮亮さんの影を落とした演技をみて、シン・仮面ライダーへの期待がますます高まりました。
伊藤沙莉さんも引き続き味のある役どころで活躍されること楽しみだ。