odyss

麻希のいる世界のodyssのレビュー・感想・評価

麻希のいる世界(2022年製作の映画)
3.5
あまり期待しないで鑑賞したのですが、拾いものの映画でしたね。

女高生の青野由希(新谷ゆづみ)が、同じ高校の牧野麻希(日高麻鈴)に惹かれていくというストーリーです。

女同士の友情を描いているのではありますが、病気を抱えている由希と、校内での評判がきわめて悪い麻希とは対照的な存在です。

ここでのキャスティングがうまいですね。由希を演じる新谷ゆづみは、初々しいけれど真っすくで、だからこそ危ういキャラクターにぴったり。逆に、麻希を演じる日高麻鈴は、どこかスレた印象を与えます。

ひたすら麻希のプラス面を信じて邁進する由希が、魅力的であると同時に危なっかしい。

つまり、この映画は、「悪評にさらされている生徒」が、実は「真人間」だったというようなありがちなパターンにはまっていないところがいいのですよね。

個人的な話になりますが、私もむかし、といって高校生時代ではなく、就職して三十歳になったころ、職場内で浮いている先輩を救おうとしたことがありました。
愚かだったんですね。つまり、浮いている人間には浮いているだけの理由があるわけで、そういう評判が根も葉もないということは、ないんです。私も、救おうとした人間にやがて手ひどく裏切られました。評判の悪い人間には、それなりのワケがあるんだということを、三十代になってやっと理解したわけです。

映画に話を戻すと、由希ちゃんには、これを教訓にして、ハズれた人間には距離をおいて、しっかり生きて欲しい。由希ちゃんなら、それができるはずだと思います。
odyss

odyss