やっちゃん

叫びとささやきのやっちゃんのレビュー・感想・評価

叫びとささやき(1972年製作の映画)
4.1
病床のアングネスに素肌を差し出す聖母のような使用人アンナの姿やお互いに距離をとる姉カーリンと末っ子マリーアの触れ合いのシーンが印象的。
人が人に触れること(その行く末がどちらに転ぶかは別として)があらゆる境遇や感情を溶かす、そんな稀有な瞬間に立ち会ったかのような作品でした。

それに、時計の秒針、呼吸、唾を飲み込む音。あらゆる日常的生活音が映画空間を満たして「これぞ、映画」という醍醐味。
色も、そう。部屋の色。服の色。台詞以上に語る色たち。あらゆる物が音が意味を持ち、語りかけてくる。終いには深く沈み込む心地で映画のなかに誘い込まれたようだった。
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