あくとる

ジェームズ・ボンドとしてのあくとるのレビュー・感想・評価

ジェームズ・ボンドとして(2021年製作の映画)
4.0
"異端のボンド"

6代目のジェームズ・ボンドとしてのダニエル・クレイグのドキュメンタリー。

冒頭、"金髪"の彼が演じるボンドが、当初はまったく受け入れられなかった様子が語られる。
悪評・酷評の集中砲火、誰も作品を観てすらいない段階でだ。
中には一線を超えてるとすら思える彼個人への中傷も見られた。
それがセクシーな"筋肉美"の写真一枚で手のひらを返すとは、マスコミと大衆は何とも単純だ(もちろん、肉体は彼の努力の証なのだが)。
そんな完全な逆境で、まったく期待されていなかった『カジノロワイヤル』が批評的・商業的な大成功を収める。
しかし、その後の『慰めの報酬』はお世辞にも成功とは言えなかった。
また、クレイグは急激にスターとなり、注目を集めたことで苦しみも味わった。
『スカイフォール』での成功とオリンピック、怪我をしながら臨んだ『スペクター』。
そして、長い物語は『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でついに終わりを迎える。
苦難の連続だった彼のボンド人生が語られる。

このドキュメンタリーを観て感じたのは、やはりボンドという役が映画史において、いかに特別で重要かということだ。
彼の心労は計り知れない。
この重責を乗り越えたダニエル・クレイグ、本当にお疲れ様でした。
ファンとして感謝の気持ちでいっぱい。
ラストのスピーチは感動的。

インタビューからも普段のダニエル・クレイグの人柄の良さが感じられて良かった。
支えとなったヒュー・ジャックマンも良い人だ。

さて、過去作の復習もしたし、これで準備完了。
劇場で最後の勇姿を拝んできます。

(余談)
ヒュー・ジャックマンの「ウィル・フェレルも候補だった」は笑った。