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ホーンテッドマンションのRenのレビュー・感想・評価

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)
2.5
一人ディズニー常習者としてはホンテって一人で超乗りやすいのでどんどん評価上がっていくのよねーなんてことを思いながら劇場に向かったけど、ごめんなさい、全然心が動かず。パークの『ホーンテッドマンション』は古典的ながら画期的なアイデアが詰まっていて、お化け屋敷の冷たさとディズニーのお祭り感が一度に楽しめるディズニーパーク初期の名作だけど、今作にそういう良さは見出せなかった。

そもそも2003年版がとてもオモロカワイイ出来で特に傑作でもないのだけど、20年経ってそれと同題材で2本目の映画化をするにあたっての意気込みや勝算を特に感じなかった。前作と合わせて二本柱を立てたかったのかもしれないが、(プロットは全く別物だけど)2003年版と同じ轍を踏んでいるように見えたぞ。
勿論明確に違いはある。エディ・マーフィー劇場だった前作から、複数主人公の団体戦に変更したことで『ゴーストバスターズ』的盛り上がりを出そうとはしていた。どんな世界観でどんなゴーストを出すのかが既定路線の中、そういう試行錯誤は伺えた。

今作も例によってカワイイホラーコメディだが、今作が「ホラー映画として」どう在りたいのかがいまいち分からない。教科書1ページ目のジャンプスケアをディズニー果汁で薄めたようなホラー描写がいくつかあるが、小さな子どもやホラー超苦手な方には怖くてそれ以外の大人にはハイハイと流されるようなどっちつかずさを覚えた。ホラーの谷に落ちてしまっているのではないか。

そして今作の根幹の設定について最後まであまりノれなかった。今作は登場人物たちが館に「閉じ込められる」訳ではない。一度館に足を踏み入れたら霊に憑かれるので→霊たちを振り祓うために館であれこれやるというのが前提ルール。つまり、登場人物たちはルール上は「何度も自由に館に出入りできる」。
館から物理的に勝手に出られるのなら、その分緊迫感は失われて当然では。霊に襲われた!→一旦退散して外界で諸々準備するぞ!→もう一回館に戻ろう!を何度も繰り返す。目的があるとは言え、次第にこの人たち何やってんと覚めてしまった。ホラーは水中に顔を押し込められているから恐怖があるのではないのか。息苦しかったら息継ぎしてね、が罷り通るならそりゃ拍子抜けでしょう。
仮にそうだとして、だったら「外界で霊に憑かれているのがどれほどの恐怖なのか(なぜそこまでして館に戻らなければいけないのか)」をもっと明示してくれ。

そして長い。ゴーストの黒幕に迫っていく承と転あたりのパートが異様に長い。ジェイミー・リー・カーティスが出てくる場面以外、全然画変わりが無いのはかなり深刻。その割に、今 謎の解明が進んでいるのかどうなのかもよく分からない(というか興味が湧かない)。気づいたら激熱アベンジャーズになっていた。

息子の悩みの話とかも若干散漫かなと思う。団体戦になっただけでストーリーラインは真っ直ぐなので、バックグラウンドの深掘りは主人公と妻の話に絞ってすっきりさせたほうが見易かったのではと勝手ながら思った。

毎回言っているけど、結論は一言「ディズニーランドのホーンテッドマンションに乗ろう!」。

その他、
○ いつまでオーウェン・ウィルソンにこんな役させるんだ(いつまででもやってくれ)。陰謀論だけど、『アステロイド・シティ』に彼が出ていなかったのってもしかして今作との撮影が被っていたから?あと『ロキ』の新作も?



《⚠️以下、ネタバレ有り⚠️》



○ ハットボックスゴーストの最後、あんなに霊能力と味方につけたゴースト達の力で追い詰めたのに、ラストの一撃は「シンプルな蹴り」なので笑ってしまった。
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