才能溢れる若い登山家を2年密着取材したドキュメンタリー。登山家は何を考えどうして山に登るのか？その気持ちを知るには十分すぎるストーリーだった。
どんな山でもロープを付けず登ってしまうマーク・アンドレ・ルクレールは才能があり成績を残しているにも関わらず一切有名ではなかった。すごいことを成し遂げているのにsnsの記事にはコメントが3件だけ。
彼はキツネにスマホを取られたし必要ないといい、見栄やいいねのために登ることはなく自分が登りたいから自分のために山を登り続けていた。
登ったという結果より、登る時の過程に意味がある。プランを立てどういう風に登っていこうという時間が彼には幸せでこの世の何にも代え難い。大きな大地のなかで小さな自分の存在を感じる、生きていることに感謝できる、普段の些細な当たり前のことが当たり前じゃないことを実感する。素晴らしい考え方だった。
彼の温かな人柄は山登りに赴く地で様々な人を魅了する。優しく謙虚で穏やかで登山家のなかでも人気があり若いということもあってパワフルだ。
自分と違う価値観を持った経験豊富な人の生き方や考え方を知ることはとても勉強になる。登山をしたことがないし、怖くないのだろうか何を考え命の危険と隣り合わせの状況で山を登るのか、いろんなことを考えながら観たけれどどれも感じたことのない、見たことのない新しい世界を覗くことができていい体験になった。
雪山の頂上から見る景色は美しいけれど恐ろしく、いい意味でも悪い意味でも自然を感じる。何があっても登り続けて自分らしくいることがどれだけ大切か彼は教えてくれる。
