実際にあった高齢者向けの売春クラブ摘発事件をモチーフにした作品。
安易に答えを与えず考えさせる所までが映画の役割だとしても「考えましょう」という答えになってしまっている気もする。
ちゃんと心に残って観て良かったとは思うのだけど。
システムから溢れ落ちてしまう人の救済についてたびたび語られるけど終盤からラストが凄く雑に感じてしまったのでそんなの分かってるよと思ってしまった。
渡辺哲が良い仕事をしているのに勿体無く思った。
めちゃくちゃ文句を言いたくなるけどじゃあつまらないのかと言われると全くそんなことはなかった。
疑似家族感が素敵に見えたりちょっと気持ち悪く見えたりとか、老若男女の描き方のバランスも良い。
ベタだけど対比としてこれから産まれようとしている命があるのも良い。
岡本鈴演じる主人公は完全な悪人とは思わないけどやってることは正しいとは思えず。
話に聞いただけなら嫌悪する人物で物語の中で彼女のことを嫌だと思ったり憎めないなと思ったり揺さぶられる人物だった。
関係がうまくいってない母親とのくだりは最終的に納得できずに自分にはちょっと難しかった。
キャラクター造形とかは凄く良いと思うのに映画が無理矢理終わってしまったように感じたのが一番残念。
高齢者の性の部分も思った程は踏み込んで描かれていないように感じた。
風俗嬢に説教する最低品質男の高齢者バージョンは大変興味深かった!
結論としては丁寧で面白いのに終盤の印象が悪く残る。
やはり映画ってどうやって終わらせるか凄く難しいんだなと思った。
それこそ観た人同士で茶でも飲んで話したくなる。