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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

世界的スーパースターである「マリオ」がフルCGにて映画化。ついに時代が追いついたというべきか、見て楽しめるゲームというような作品になっております。

今回は4DMXにて子供に囲まれながら観賞。想像以上に動くので慣れてないせいか酔いました。
これから観賞する方はご注意ください。


以下、ややネタバレあります。

マリオといえば今さら説明するまでもなく「魔王クッパに攫われたピーチ姫を助けに行く」お話ですが、今作は「異世界に迷い込んだマリオがピーチ姫と共にクッパと戦う」という、ただ助けを待つだけじゃない勇敢な姫様が拝めます。

そして、その代わりに囚われの身になるのはルイージとなるわけですが、この役どころが絶妙。

まず、マリオはルイージと共にブルックリンにて職場を辞め、独立して起業した配管工なのですが、身体能力はずば抜けているもののヌケているところがあり、かつての同僚からバカにされ、家族からも期待されていない。

そんなマリオが何よりも大切にしているのが弟のルイージで、また、ルイージも基本的にマリオの足を引っ張るだけですが固い絆で結ばれており、序盤から2人の仲を見せつけてくれます。

なので、突如異世界(=キノコ王国)に迷い込んだマリオが世界の危機のためにクッパと戦う…という「なんで他人のためにそこまで?」という疑問を「弟を助けるため」という、非常に分かりやすい理由に昇華しています。


そして、早々に理由付けが完了したら、あとは「みんなコレが見たかったよね?」のオンパレード。

マリオカート見たかったよね?
ドンキーコング見たかったよね?
スマブラ見たかったよね?
ルイージマンション見たかったよね?
ベビーマリオ見たかったよね?

もう、これでもかというくらい盛りだくさん!自分のような懐古厨からお子様まで、ことあるごとに声を出して喜べるようになっておりました。

特に個人的によかったと思ったのは最序盤、マリオがピーチ姫と共に旅に出る条件として特設コースをクリアするくだり。
あそこで「残機数」の概念であるコンテニューを体現していて感動してしまいました。


1点気になったのは「死」という言葉がやたら出てきたこと。
特にCMでも登場している青い星のキャラクタ(チコかな?)の死生観というか達観した様子はだいぶホラーじみていました。


細かい小ネタは随所に盛り込まれており、マリオの元同僚が初期作品のレッキングクルーのライバルキャラだったり、着信音がゲームキューブだったり、マリオがパルテナの鏡をプレイしていたり、2人のジャンプポーズがゲームそのままだったり、とにかく愛にあふれています。

特に音楽に関しては場面毎に懐かしい曲が流れまくりで(64のピーチ城は感涙物)聞こえてきた瞬間に楽しかった当時を思い出してしまいました。
おじさんホイホイすぎるんですよ…。


そして、今作において個人的に1番よかったところは「クッパがきちんと魔王をしている」ところ。最序盤からとにかく強く容赦がない。

各王国の侵略動機も「ピーチ姫と結婚するため」であり、そのために「世界を手中に納めれるほど強くて魅力的な自分なら姫も惚れてくれるハズ」という自己中極まりなく、かつ力こそ全てという、おおよそ誰もが同意できないもの。
なので、ピーチ姫を始めコング族も和解という選択肢はなく、最初から全力でクッパに戦いを挑みます。

これほど分かりやすい勧善懲悪も昨今なかなかに珍しく、故にクッパが痛い目に遭うたびに見ているこちらはひたすらに盛り上がれます。


総じて、マリオシリーズに触れたことがある人なら大いに楽しめると思います。
では、触れたことがない人が見たらどうなのか?と考えると凡作の域は出ないのかな、とも思いました。

…というのも、特に世界観の説明もない上に「国の一大事に国民達は自分たちが愛くるしい存在というだけで全てを一個人に投げっぱなし」という、一般常識からはかけ離れた思想感を持ち合わせており、「はてなボックスを叩くとアイテムが出現する」「キノコを食べるとパワーアップする」「スターを取ると無敵になる」など、知らない人からしたら「急にどうした?」という事がオンパレードだったりするからです。

特にストーリーは捻りはなく一本道なので、「マリオとはそういうものだ」と見れる人は楽しいでしょうが、そうでない方は常にテンション高めでオーバーリアクションが続くことに辟易してしまうかもしれません。


エンディング後にも少しだけオマケがありますので、最後まで見ることをお勧めします。

次作があるなら、ヨッシー、ロゼッタ、ワリオ辺りには出て欲しいですね。
また、この調子でカービィやゼルダが映画化してくれたら歓喜です。
TKE

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