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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのRenのレビュー・感想・評価

2.5
ゲームを全然やってこなかった人生だけど、DSスーマリ&マリカーは世代だしどハマりでやってた。なのでもちろん懐かしい〜!とはなったものの、ぶっちゃけあんまり面白くなかった。この映画への世間の熱狂はマリオ人気とほぼイコールであり、作品自体が何かを生み出しているかと言うと決してそんなことはない。

本当に本当によくある子ども向けポップコーンムービーだし、いつものイルミネーションがマリオという超人気コンテンツの服を着ただけ。それでいいし、それ以上のことがあるとはハナから思っていなかったのでこれで正解。

目に鮮やかでポップな映像は良かった。マリオのあのファンシーなカラフルさに飽きてきた頃にマリカーのネオンなカラフルさが混ざってきたりして、常に一定のワクワクはあった。

ただし、物語の大半をカメオやファンサービスやゲームのトレースに割いた結果、話が止まっている時間が長くて暇になる。序盤のマリオのスキル上げのシーンと中盤のドンキーコングのシーンが特に顕著で、観客に「こういうの見たことあるでしょ?今やってるよ?」と提示する以上の意味が無いので、長げ〜話進ませろ〜とばかり思ってしまって寝落ちしかけた。

アクションはゲームっぽい。テーマが一貫しているのは良いけど、自分が手を動かしていないのにゲーム画面だけが流れているような虚しさがチラつく。極論「これならゲームやるわ」と思ってしまうのはこの映画の意図として成功なのか?映画ならもっと物理を意識しても良かったのでは?楽しいよりも軽いが勝る瞬間が何度もあった。

アイテムを使って敵をボコボコにするのが快楽たり得るのも、自分がコントローラーを握っているからこそなのではないのか。肉体性から離れてほぼチートな方法で制裁を加えるシーンをスクリーンで受動的に観ても、そこにカタルシスは無いなと感じた。

ピーチは良い。パンツスタイルで華麗に動き回るアクションは『トイ・ストーリー4』のボーなどを思い出さずにはいられない(あと途中めっちゃ「アナ雪2」のエルサみたいだった!)。原作の要素を存分に抽出しキモい男性性を振り撒くだけのクッパも下手な改変が無く好感が持てる。

ディズニー/ピクサーやドリームワークス、SPAのアニメが写実性とアニメ快楽を研ぎ澄ます群雄割拠の時代に、今作のアプローチは刺さる人には刺さるのだろう。でも歴史的にもこういう子ども向け映画が絶賛一色になったことは無いし今作が例外だとも全く思わないので、自分は否の部分を強調した。

【追記】評論家の意見は大衆と違うからダメだ、と言う人、なんで評論家の存在理由を知らないフリしているんだろう。まさか「評論を、"売り上げが高いものや大衆に人気なものイコール良いもの" としてジャッジすること」だと思っている訳はないし...。
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