このレビューはネタバレを含みます
大学時代のゼミ仲間と小旅行に行った先で、自殺した元カノが現れるも幽霊であった。約束を結んでしまったことで事態は思いもよらない方向へ行くお話。
話の中盤終わりぐらいまできれいな景色が続いて、夕暮れ時の机付きベンチでの会話や、夜中のオレンジ色の照明の当たる感じとかがすごくきれいでしたね。
物語の真ん中あたりで主人公が急に謎の手に引き込まれ、自分が死ぬかゼミ仲間の一人を犠牲にするかで詰められたところ(椅子に座らせられて、彼女や周りにいる人たちの目が真っ黒だったりする場面)がめちゃくちゃ怖かったですね。
脅かす行為はほとんどなく、ただ急に現れたり、うつろな表情で会話をしたり、普通の映画ではあんまりない会話というには近くないし遠くない謎に怖い距離感やしゃべり始めるまでの少し空ける間が、次に何をしてくるんだろうという恐怖感・不安感があって面白かったですね。
個人的にゾッとしたところがあって、ひとまず夢から主人公が覚めてきれいな宮殿みたいなところをカメラに収めているのですが、なにかを見つけた・見られているかのような動きをずっとしていて観客には何にも見えない。そこからパッと別の方向を見ると、小学校とかで読む「ちいちゃんのかげおくり」みたいな黒い影があるけどすぐに消えて残像が残るみたいな映像表現に、見覚えのある体験にかなり近かったのでゾクッとして印象に残りましたね。
霊媒・除霊師のキャラクターがかなり個性的で、カラオケの割引券をくれたキャラクターなんかは結構好きですね。今まで割と静かだったり景色がきれいな落ち着いた雰囲気が続いていたので。
この作品の一番に語るべきは夢と現実の境や現実の事実がどんどんわからなくなっていくところで、
事実が破綻とは言えないものの、主人公がポテチ食いながら寝たら自殺したはずの元カノが現れるみたいな夢だと明らかに分かる要素が後半の部分では描かれておらず、実写映像と漫画の絵で色々描かれていて、「あれもう一人の方殺したんだ」や「いつ事故を起こして出血してるの」みたいなかなり飛び飛びな状況なので、間を自分自身でつなぐようにしないといけなく、理解や整理が難しいというかあんまりできないですね。単に実写での体験を漫画の方は殺したみたいな描写に置き換えたみたいないいネタをつかんで参考にしたというだけもぜんぜんありえるんですよね、考察勢に頼るしかない。
主人公が不条理ファンタジー漫画を描いているように、なんでと思っても「いや知らん」みたいなところがあると思うのでそういうもんとして受け止めています。
(ポテチ食いながら主人公が寝る→元カノが登場~ゼミ仲間を殺せと命令される(夢)→お祓いのところから先がよくわからない...)