マインド亀

モスル~ある SWAT 部隊の戦い~のマインド亀のレビュー・感想・評価

4.0
●映画館で観られなかった今作が、早くもアマゾンプライムビデオにて配信されていたため、早速鑑賞いたしました。

●学生時代に自分の部屋のPCに簡易的な5.1chを構築して以来、プライベートライアンなどの、四方八方から銃声や爆発音が聞こえる没入型戦場映画が大好物で、特にソリッドにほぼ戦闘シーンで構成されるブラックホーク・ダウン(以下ブラホ)はDVDで何度も鑑賞し、ヘッドホンで夜中の爆音上映でストレスを発散させるほどでした。

●前置きが長くなりましたが、本作はそのブラホを大幅に上回る戦場体験を楽しめました!(実際には楽しんだという表現はふさわしくないですね。地獄絵図を体験した、というべきでしょうか)
戦闘シーンの釣瓶打ちで衝撃だったブラホですが、それでも前半の基地でのドラマ展開や後半のモッタリ感などはDVDで飛ばしてしまう部分でした。また、複数の人物の視点にカメラが切り替わることで、没入感は半減。しかし本作は最初からクライマックス級の崖っぷち戦闘が繰り広げられ、あれよという間に主人公がスワット部隊に編入し、わけもわからないまま事が進みます。観客は主人公と同じくミッションの目的や隊員の名前や顔もわからないまま、戦闘シーンに没入させられるわけです。そんな体験を私が気に入らないはずがありません。本作はその尺のタイトさからも、体験型映画という意味ではぶっちぎりでした。

●そんなに戦闘体験が好きならばゲームでもやってろという声が聞こえそうですが、ドラマ部分が本当に良いんです。もったりまったりすることなく、あっけなく人が死んでいく恐怖を肌で感じるし、主人公も短時間で成長(もしくは戦闘マシーンへ変身)していくのがはっきりわかります。また、ミッションの目的が、死んでいく人数からすると割に合わないためヒロイズムに描かれ過ぎなど言われる部分もありますが、それは一人を救うために部隊が全滅するプライベートライアンや死体を置いていかないという信念で助けに行く隊員が次々と死んでいくブラホのように、戦争の不条理とはそういうものではないかと思うのです。本作はそれら以上に、ありえないくらい人間味のあるミッションなのでした。それでも、この戦場の地獄絵図のことを思うと一点の救いだと思えるし、泣けてしまうのです。それぐらいのヒロイズムでもないと、人間性を捨てさせられる戦場映画で人間としてこの映画を体験できません。とてもいいバランスの映画だと思います。

●さらにこの戦場全てがセットと聞いてびっくり。また完全アメリカ制作でルッソ兄弟主導なのにまたびっくり。こんな映画を現地の俳優を使い現地の言葉で作ったルッソ兄弟に感謝しかありません。

●ちなみに、本作ではタバコ1カートンが弾薬1ケースと物々交換されます。それくらいタバコは貴重なのです。禁煙して随分と経ちますが、有事の際の金銭代わりに、タバコを大量に備蓄するのもありかなぁと思うのでした。長文失礼いたしました。
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