ハレルヤ

モスル~ある SWAT 部隊の戦い~のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.7
イラク第2の都市モスル。争いが絶えず荒廃したこの街でイスラム過激派組織と戦闘を繰り広げるSWAT部隊。新米警察官のカーワは彼らと同行する事になり、想像を絶する体験をする戦争映画。

ダーイッシュと呼ばれるイスラム過激派組織が牛耳るモスルで、組織に家族を奪われた元警官たちで構成された特殊部隊のSWAT。冒頭から凄まじい銃撃戦でその臨場感に前のめり。この戦いで自分の叔父を亡くした主人公のカーワ。窮地を救ってくれたSWATに誘われて、彼らの仲間入りをする。そのカーワの目線で本作は進みます。

彼らは本部隊と別で独自で動き、その目的は終盤までカーワにも知らされない。とにかくダーイッシュのアジトを目指して突き進む。その道中は文字通りの地獄絵図で、老若男女問わず民間人は戦闘による巻き添えを食らい、仲間も次々と命を落としていく。

その様子はドキュメンタリータッチで描かれ、観客もその場に居合わせているように思えます。どこから飛んできているか分からない銃弾の嵐。強烈な爆発というリアリティに満ちた戦場に加え、味方の誤射やRPGの不発だったり戦場で実際にありそうなアクシデントまでキッチリ描いていました。

主人公のカーワも最初は戸惑いながらも部隊に同行していたが、修羅場をくぐる度に表情が険しくなり、後半での突然の行動には驚きましたね。純粋な心を持っていたからこそ壮絶な戦場で変化してしまったのを思い知らされます。

日本とは正反対のイラクでの実情。これが今も起きている事に胸が苦しくなりますし、ラストを見ても終わりのない戦いが続くように感じられました。復讐は復讐しか生まない。この負の連鎖を断ち切れるものなら断ち切りたい。そう思わずにはいられない作品でした。
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