Carly

母の聖戦/市民のCarlyのレビュー・感想・評価

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)
3.9
Tiffにて鑑賞。
エターナルズはしぬほど長かったのにこの映画はちっとも長さを感じなかった。実際の時間より体感は短かったくらい。やっぱり緊迫感のある映画は違う。スクリーンの向こう側の出来事に心を奪われ、圧倒的なまでに翻弄された。
メキシコの治安については報道で耳にはしていたけれど、映像で目の当たりにすると絶望しかなかった。警察も頼れない、近所の人だって誰がマフィアと通じているとか、内通者だとか分からない。暴力と権力とカネが支配者。正義なんてものがどこにもなくて、泣いても叫んでも誰も助けてくれない。彼女の絶望はどれ程だっただろう。
次に何が起こるのか全く予想がつかなかったし、結末も想像できなくて本当にハラハラした。暴力とは無縁な場所にいた彼女が軍に助けを求めた事によって図らずもそれを目にし、自身もそこへ落ちていく-その転落の構図の描き方が凄かった。暴力に怯えながら、自身もまたそれに頼らざるを得ないという理不尽。なんて世界だ。
それにしても軍ってすぐに配置転換になるんだな。あの中尉?こないだ来たばっかみたいなこと言ってたのに。そこはちょっと驚きだった。
Carly

Carly