一人娘が誘拐され、娘探しに奔走する母親の目線からメキシコの深い暗部をじわじわと描いていく話。
最初は、明らかに大きな組織の一端でしかない誘拐犯の若い男たちに、娘の安否も確認せずに言われるがままお金を工面する母親の姿を見て、日本でいうオレオレ詐欺みたいな感じ(とはいえ誘拐はこれより凶悪)なのかと思っていたら想像を絶するほど闇は深そうだった。
あくまで母親の視点なので組織の全体像は分からないけれど、地域のコミュニティ全体を覆っている巨大な何かを感じる。街の人全員が何かに加担していて何かを知ってるけど、全体像は誰も知らない感じ。メキシコに住んでたら、誰にも心開けないよ〜と思った。
誘拐ビジネスを仕切る麻薬カルテル的な組織も怖いけど、今回は母親の味方だった軍も結構やってることはやばい。母親は軍の強力な力を使って徐々に犯人に近づいて行くのだけど、軍はこの母親の証言だけで拷問したり逮捕したりしてる。今作では実行犯だったり手を汚した人ではあったけど、これ悪意のある人だったら何もやってないけど自分に都合の悪い人を追放しちゃえるのでは？普通に中世の魔女狩りじゃんと思った。
それに結局軍が手を下してるのも一般市民で、お金のために手を汚した人や組織の端の端の方の人だけ。結局もっと深い部分の人には手を下さないんじゃないか？と思った。
