たわーりんぐいんふぇるの

オマージュのたわーりんぐいんふぇるののレビュー・感想・評価

オマージュ(2021年製作の映画)
4.3
オマージュとは「既存の作品、人物、発言などに対して敬意を表する」こと。
売れる目処がたたない女性映画監督が、フィルムの修復作業を通して自分の人生と向き合い、新たな一歩を踏み出す姿を描いた作品。オススメです。

60 年代に活動した女性監督ホン・ジェウォンが残した映画「女判事(You tubeで視聴可能)」の修復プロジェクトに携わることになった女性映画監督。
修復の過程でフィルムの一部が欠落してることに気づき、当時の人を訪ね歩きます。
女が編集室に入ると縁起が悪いと塩をまかれる時代。
探し当てたフィルムから検閲でカットされた、なぜカットされたのか。
溶かしてレコードを作ったり、昔はフィルムから銀が捕れるから上映後は売っていた。

韓国映画界で初めての女性監督パク・ナモク。冒頭にその作品「未亡人」が紹介されます。
韓国映画史上、二人目の女性監督が、この作品のモデルとなったホン・ウノン。
映画ではフィクションの要素も含まれるため、ホン・ウノンではなく「ホン・ジェウォン」という名に変えられてます。
そして「女判事」は1962年に作られた実在する韓国映画で、女性判事の死という当時実際に起こった事件を題材に、判事になった女性が劣等感を抱いている夫や姑との葛藤を乗り越えていく様子を描いています。
男性中心の家父長制社会である韓国社会、判事という優越した立場の女性。男だらけの映画界における女性の境遇を、監督自身の目線で描いてます。
パク・ナモクとホン・ウノンはとても仲が良く、オッキのモデルとなった編集技師のキム・ヨンヒと3人でよく集まっていたため、「サンバガラス」と呼ばれてた。映画の中でも描かれてます。

女性監督たちの時を超えた連帯を描く、映画を愛するすべての人へ。そして、かつて輝きながら消えていったすべての者たちへ。
しず〜かな作品ですが「チャンシルさんは福が多いね」を思い出しました。
ホントにいい作品です。