コラボ

マイスモールランドのコラボのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.6
 題材が重そうなので観るのをためらっていたがようやく鑑賞。
 クルド人難民として日本に住んでいるチョークラ一家の長女サーリャは日本に馴染んで地元の高校に通っている。地元には他にもクルド人が住んでいてコミュニティを形成している。映画は一家が出していた難民申請が却下されるところから大きく動き出す。父は就労を禁止されたのに生活のため働いていたために入管に収容され、一家は経済的に困窮する。働きに川向こうの東京に行くことも許されないサーリャは「パパ活」までせざるを得ない状況に追い込まれてしまう。
 映画として過不足なく作られていたが、それだけに観るのがつらかった。日本という国がなぜこんな仕打をするのか、と憤りを覚えずにいられない。周囲の人物たちにもそれなりの善意はあってサーリャたちを何かと援助するものの、国家を相手にして好転するとは思えない。父が、子どもたちにビザが取得できるよう、自らを犠牲にして帰国を受け入れる。サーリャが最後に見せた挑むような表情はこの映画を観た人間に問いかけているようなものだ。映画は終わるけれども、この世界には出口がない。重い作品。