クロ

マイスモールランドのクロのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.2
移民、中でも難民の認定の問題や、入国管理局での人権侵害、そして6月10日に施行が決まった改正入管法。イスラモフォビア、とりわけクルド人へのヘイトも昨年から深刻さを増している。

こういった問題を考え、排外的な考え方に流されないためには、やはり「知る」ことだよなぁ、と思う。

日本語が覚えられないクルド人たち(これはどの外国人にも、多分海外で暮らす日本人にでも当てはまる人はいると思う)、ヤングケアラー的役割を余儀なくされる主人公、地元民とのマナー上のトラブル(今作ではコインランドリーの使い方くらいしか言及が無かったが、多分もっと色々あると思う)。

こういった良く聞く問題も描きつつ、やはり興味を引くのは、家族での食事風景、前髪のうねりを気にする「普通の高校生」である主人公や、日本育ちで日本語しか分からない妹、友達との交流、冗談を言って笑わせるお父さんなど、リアリティがあって親近感を感じさせる彼らの姿だ。
主人公一家は本当に家族で演じているとのこと。

難民申請が認められず(日本で難民申請が認められたクルド人はたった1人。世界では約5万人)、仮放免状態では働くことも禁止される。これって一体彼らにどうやって生きていけというんだろう?あえて劣悪な環境に押し込めて、命の危険もある所へ戻らせるやり方で本当に良いの?

そして次は共生を願い、行動する人たちのこと(そういう人たちも沢山いる)ももっと知りたいです。

主人公サーリャ役の嵐莉菜の演技はとても素晴らしかったので、今後も期待。
聡太役の奥平大兼も良かった。
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