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クナシリのdarumaのレビュー・感想・評価

クナシリ(2019年製作の映画)
4.0
北方領土・国後島のドキュメンタリー。ドキュメントというより現実の風景を見ているような。地続き感が凄かった。
海峡まで8kmしか離れていないのか…(陸-陸で16kmらしいです。調べた)
まさに、近くて遠い国。(国、と言ってしまうとまずいのか)

ちょっとうとうとしてしまったので、字幕が読み切れていない所がありますが、印象的だった事をいくつか。

・仮に日本に返還されたとしても日本人は住まない(漁業の領域=国土としてしか見ていない。と少なくともロシア側は思っている。実際にそうなのでは、と私も思った)
・温泉が出る!(知らなかった…でも北海道も温泉地たくさんあるから、全くおかしくない)
・ロシアの行政の人(かな?偉い人)は、戦車を飾ったりする博物館を作って、観光地化させたいと思っている(おそらく上の温泉なども含めてという事かと思いますが。と読み取れたけど違っていたらすみません)

最後のほうに、戦勝記念日の映像が出てきたんだけど(「1941-1945」と書かれていた)、戦勝記念日、という発想がまず自分には無かったので衝撃だった。(もしかしてこれ、過去のイメージ映像だったのかな?妙に色味がはっきりしていた)
日本から見ると敗戦なのでこういう事は起こらない訳ですが、海外では普通なのだろうか。もしかして日本も日清戦争の後などにはしていたのか…?(まったくもって不勉強で申し訳ない)

もし、日本が戦争に勝っていたら。
この土地が日本の領土だったら。(という言い方はまずいのか。グレーではなく、はっきりとしていたら)
こんなに荒んだ感じにはなっていなかったのか…?
(家屋に依ると思いますが、下水が無い、排水が垂れ流し、など。魚介類も危ないというような印象だった)

物凄く近いのに、統治している国が違うだけで、こんなにも異なる様相を呈してしまうとは。

実際に住んでいる人たちは、日本に対する印象はそれほど悪くないという感じで(むしろ凄いと誉めているような。漁業にしろ文化にしろ、環境整備なども含めて)、それもなんとも言えない感じだった。

個人的にかなり近く(見えるまでは行かないけれどその隣町くらいのレベル)に住んでいた事があるので、あ、普段見ている風景と同じ…(クマザサ!)とか思っていたら、睡眠たっぷりとってめちゃくちゃ万全の態勢で観に行ったのに寝落ちしてしまった(すみません!)それくらいリアル(入り込める)、あと説明が少ない(風景を見せる事のほうに注力している感じがする)ので、ちょっと気合を入れて観ないと、ぼーっとしてしまうかもしれない(個人的に海外のドキュメンタリー作品ではあるあるなんですが。起伏が激しくなく、ストーリー性はあまりないので)。久々の劇場鑑賞だったのに勿体無い事をしました…

島内に日本人のお墓はありますが、物凄く土に埋もれていました。近くなのでビザなし墓参のニュースを見た事があるのですが、行った先はこんな感じなのか…切ない。
でも、帰りたいのかな。
私は内地(道外)から来ている人間なので、感情移入するという感じではないのですが、劇場には結構お年寄りが来られていました(上映開始して、かなり経ってから入って来られたグループが居たのでびっくりしました)。最初はうわー地元感!(を感じる時は実はあまりいい事が無い。。うるさくなったりするから)と思いましたが、全然静かに見入られていました。どういう気持ちで観ているのだろう…まさかのめちゃくちゃ大きなスクリーンだったので席を取った段階で凄く驚いたのですが(シネコンなんですがこういう単館系の作品はいつも箱が小さいので)、人数を見て納得。直接関係のある方ではないかもとは思いますが、身近な遠い国がこういう形でも見られるというのは嬉しいんじゃないかな。外国の監督の作品ですが、ありがとうという気持ちでいっぱいです。

ドキュメンタリーが好きな方にはおすすめ。
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