「アルプススタンドのはしの方」と同じく高校演劇が原作、山下敦弘監督も認識済みで鑑賞。これは何気に凄いかもしれない…ガンガン海外セールスする気があると思う。ここ最近よく見かける「ウーマン・トーキング」「SHE SAID」系だと思います。可愛い女子高生の皮を被っていますが、バリバリジェンダーネタです。
とにかくアルプススタンドのイメージしかない状態で観始めたので、話がどこへ転がっていくんだろう…と思って観ていました。まさかの!だった。
高校の水を抜いたプールの掃除をさせられるところから話は始まります。何故このメンバーなのか、何故彼女たちは掃除をさせられているのか…観ていくとその理由が徐々にわかってくるのですが、その事よりも、何故プールがそんなに砂だらけなのか。私はそっちの方が気になってしまった。
これ、めちゃめちゃ隠喩というか、意図があるんだと思う。
この砂は野球部(がおそらく男子の象徴。ちなみにこの映画はメインキャストに男性が1人も居ません)の練習で地面の砂が巻き上げられて、プールに飛んできているんです。
そして女子がプールを掃除させられている。
彼らが起こした風は彼らに影響せず、女子だけが影響を受けている。
その事がもう、象徴していると思いませんか…?
私は全然フェミニストとかでは無いと思うんですが、これを高校演劇でやっている事、そして海外を視野に入れて映画化している事が素晴らしいと思った。
冒頭に配給がSPOTTED PRODUCTIONSと出て、私ここの映画が大好きなんですが、何せ単館系なので地元シネコンでかかる事がまず無く…もしかして初めて観たかも?めっちゃ嬉しかったです。
ちなみにエンドロールにちゃんと海外セールス担当のクレジットがあった。だから売る気はあるんだと思う。
役者さんも全然知らない方ばかりでしたが、唯一、さとうほなみさんが出てきてテンション上がった!少女対大人の構図の大人代表です。
でも、メインキャストの女子高生さんたちもよかった。特にチヅル役の方、豪快でよかった!ちょっと上原実矩ちゃんぽい感じがしました。お化粧の子も誰かに似てるような…?黒川智花ちゃん?とかって考えてたら、先輩の子が黒島結菜ちゃんに見えて来たり、なんだか未来のスターが詰まっているように感じた。
お化粧の子が、本当は野球部のマネージャーになりたかったけど、きっと不純な動機では無かったのに、見た目が派手という容姿だけで振り落とされていると思われるくだり、ちょっと泣きそうになってしまった。
他にも直接的な言葉としては出てこないけれど、前述した砂のような、込められたメッセージが凄くたくさんあるような気がする。受け止めきれていなくてごめんなさい。とても考えさせられる作品。
これはどういう方がターゲットなんだろう…もしかして可愛い女子高生目当てに観にくるおじさんだとしたら、パンチを喰らいそう(逆にそれが狙いなのか!?)。むしろ同世代の女子にたくさん観に行って欲しいです。
事前に評価(星の数だけ)を見て行きましたが、個人的にはそこまで悪くなかったです。