オッペンハイマーの観たいですのネタバレレビュー・内容・結末

　よかった、と言っていいのか題材的に悩むが個人的には映画として物語として素晴らしい映画だと思った。音の使い方が本当に良かった。
　時系列シャッフルに加えてさすがにあの辺の科学者の関係や確執、時代背景にそこまで詳しくないので所々「？？？」だったが人物の感情は伝わって来たので乗り切れた。もっと勉強してから観たい。
　事前に原爆の被害についてあまり描かれていないと言われてる記事を見たが、直接的なシーンはないものの思ったよりも被害を想起させるシーンがあって驚いた。オッペンハイマーの主観で頑張って描いてると思った。もっと克明に描いていてもそれはそれでセンセーショナルに描いていいのかみたいなこと言われてたと思うし……

　現実と地続きなこの題材、色々思うところはあるけど最後まで観て物語として好きだな〜が勝ってしまった。物語のパワーすごい怖い。


〈個人的な物語の好きポイント〉

　原爆の実験のあのシーンはきちんと爆弾が爆発してくれないと困るが、でも、もしかしたら連鎖反応が永続して自分達は己や国や地球を滅ぼしてしまうかもしれないという「ちゃんと爆発してほしいけど、無限の爆発はしないでくれ！」というめちゃくちゃドキドキシーンで、そこできちんと爆発し無事それを見届けられたのでもうウルトラ最高ハッピー場面なんだけど、ラストでオッペンハイマーが言った台詞によって彼の中ではもう原爆による無限の連鎖反応が起こっていて、あのウルトラ最高ハッピーシーンが最後で本当に絶望シーンに変わるのがめっちゃよかった（日本で原爆投下の教育を受けた人なら比較的最初から絶望を感じられると思うが他の国の人は絶望感をラスト間際でやっと感じられるのではないかと思う）
　
　与えられた情報量によって場面やものの見方が変わるシーンが好きなのでアガりました。
　
　しかも最後のオッペンハイマーの台詞はアインシュタインがそれ以前に言った「ありえない」を覆す発言＝アインシュタインの計算を否定する発言になってて、だからアインシュタイン怒ってる風に去っていったのかな〜とか色々考えられてラストシーン本当に好きだなと思いました。