なべこ

オッペンハイマーのなべこのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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オッペンハイマーの主観で描かれた映画で、彼の人となりがよくわかるように作られていた。随所で出てくる頭の中の思考を映像化したものが、かなり彼の苦悩を表現する手助けになっている気がする。
クリストファーノーランが数々の素晴らしい映画を作って名声を得た上で作ったのがこの伝記映画、ということに意味を感じてしまう。
現代の〇〇戦争を意識した〜とか〇〇思想をベースに〜とか、ましてや“太平洋戦争”を描いたのではないと思う。倫理的・道徳的にダメだとわかっていても情勢がそうさせてくる、やるしかない進めるしかない世の恐ろしさとか、自分の知的好奇心・向上心が生んだ取り返しのつかなさとか。最後の「私が世界を破壊した」、その一言に尽きる。
この映画では原爆使用による被害を提示しなくても、観た人が原爆投下による戦争の勝利に喜んでいる人(≠研究としての成功に喜んでいる人)に違和感を覚えれたらそれで充分なはず。
光と影、カメラワーク、音と音楽なんかがいいのは言わずもがな、クリストファーノーランなので。
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