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オッペンハイマーのfiorinaのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
オッペンハイマーがソ連のスパイの濡れ衣を着せられた聴聞会(核分裂)とストロース(濡れ衣を着せた男)の公聴会(核融合)という2部構成になっていてそれぞれが回想シーンで進みかつ登場人物も多いので複雑だったけれど3時間が苦にならないほど没入した

極力CGを使わず特撮を行ったり 本作のためだけに開発された65mmカメラ用モノクロフィルムを用いて史上初のIMAXモノクロ・アナログ撮影を実現させたノーランのこだわりが好き

終始緊張感を煽る音楽を効果的に使っていて、特にマンハッタン計画の世界初の核実験である「トリニティ実験」のクライマックスは本当に巧くて緊張感もあったしかなりの迫力だった

「日本人が被害を受けた描写がない(字幕しかない)」という批判が目立つが史実を忠実に描いた伝記映画なんだからオッペンハイマーの一人称視点で進むのは妥当だし彼はラジオで知らされるわけだからむしろそこで惨劇を描写する方がナンセンスだと思う

アメリカが日本に原爆を落としたことは許されないとかそんなのは当たり前でそれを映画の評価と混同してはいけない。冒頭のプロメテウスの引用から判るとおり決して彼を英雄扱いする映画ではない(実際黒焦げになった犠牲者はノーランの実の娘が演じている)
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